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Channel: ボナさんの北海道の釣り三昧II(休養中)
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釣道

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1月に友人二人を失った。吹雪の中にバスを見送ってカミさんと帰宅した。二人とも虚脱状態で居間のソファでうたたねをしてしまった。気丈に振る舞った故人の奥様、故人の妹さんも暫く悲嘆にくれる日が続くと思うと涙が自然に出てきた。

私は大学同期の事務局を50年以上引き受けて、家族の依頼があれば、総務役として裏方に徹している。訃報を聞くと、後期高齢者になり50人ほどになった同期生に、メールの一便目を発送する。二便目に葬儀の日程や会場などの詳細を報告する。葬儀委員長や、弔辞を引き受けざるを得なくなったなら、といつも準備はしているが、弔問に訪れてくれる同期の中から、最適な人物にその日にお願いしている。今回の場合は、一度故人が呼吸停止になった時に、奥様が葬儀場を決めているが、葬儀委員長を決めてくれないかと相談されていた。

委員長候補は多忙で私も仕事を持っているので、早目に略歴や弔辞の内容を綴っていた。それから、ひと月が過ぎた早朝5時に奥様から訃報が入った。本州に出張するという委員長候補は、早朝の電話が鳴った時に覚悟を決め、引き受けたと返事してくれた。お通夜の委員長の挨拶は、ほとんど、私が用意した弔辞内容とほぼ同じだった。これでは、私は、弔辞が話せない。

通夜の席で、前夜の弔問客として会った同期に無理なお願いだけど、私の用意した弔辞を渡し、先生はドイツで故人に会ったことがあったね、窮地の私を助けて呉れないか、のお願いに、いまでも合気道などの武道をラトビアなどに広めに行っている友は、何とかする。と引き受けて呉れた。有難かった。彼は告別式での弔辞の中で、私たちの知らないエピソードを交えて話してくれた。故人と学生時代に武道で通じ合ったところを披露してくれた。弓道部の部長であった故人が、的に射る矢の数ではなく、弓を引く時の所作が大事、矢を放つ時の心に乱れの無いこと、と和弓のあるべき道を後輩に説いていた、と語った(釣道のあるべき姿もそうだ)。私が弔辞案文の中で訪問客にいうべきか躊躇した、故人の腎不全の治療の為に奥様が腎臓を提供したことを話してくれ、故人に代って奥様に有り難うという言葉を添えた。素晴らしい弔辞であった。ありがとうと、彼に手を合わせた。

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